「アカシヤ会」会報 2014年3月発行 第238号

函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」が、定期的に発送しているニュースレターを掲載いたします。

今年最初の1月19日の例会は10名と珍しくこじんまりした集まりでしたが、各人たくさんお話ができ内容の濃いものになりました。

その後の新年会には「フリースクールすまいる」の皆さんも参加され13名で大いに盛り上がりました。

2月16日の例会はスクールカウンセラーの大杉ユリ子先生に「不登校のお子さんへのかかわりについて考える」というテーマで講演いただき、熱のこもったお話にすっかり引きこまれました。

初参加の方4名を含め20名と盛況で、たくさんの質疑応答もあって時間が足りませんでした。

 

例会日程:函館市総合福祉センター「あいよる21」で開催します(13:30~16:00)

  3月16日・6月15日(1階会議室) 4月20日・7月20日(1階会議室)
 5月18日 は公開イベント「子どもの未来を支援する道南ネットワークの集い」 を開催しますので、同封のチラシをご覧いただき、是非ご参加ください!(^^)!      
 

第7回「多様な学び」勉強会:4月5日(土)13:30~15:30「あいよる」3階第2会議室

 今回は学校が抱える課題(公立小学校教員・後藤健一氏)と多様な学びの一つとして~オランダの教 育の紹介((株)サツキエデュケーション代表・高石勇光氏)です。同封チラシにより、是非ご参加ください。

※道南ひきこもり家族交流会「あさがお」

次回、4月13日(日)の例会では、「発達障害とは何か、どのように対処したらよいか」についての勉強会を行います。講師は発達障害者支援センターあおいそらコーディネーター片山智博氏ですので、関心をお持ちの方は是非ご参加ください。14:00~15:30、函館市総合福祉センタ、資料代200円(あさがお会員は無料)です。

※アカシヤ会は1月から新年度になっておりますので、引き続き入会いただける方は同封の振込用紙にて
  2014年度会費を納入ください。ご卒業の方にはこれまでのご支援に心から感謝申し上げます。



◆最近はお子さんが「発達障害」かもしれないと悩む方の参加が増えています。

小学校高学年から不登校で、中学校も全く通っていないお子さんの親御さんは、当初は必死に通学させようとしましたが、こちらが頑張るほどお子さんが荒れたりパニックになるので、今は家でゆっくり休ませています。

親御さんとは普通に話をしますし、親戚の家族が泊がけで遊びにきても一緒に遊んだりしますが、その後とても疲れるようです。外出や知らない人との接触に強い不安を感じているようで、親御さんは何らかの発達障害的な課題があるのではないかと感じています。無理をさせないように心がけていますが、このままの状態が固定化されることも心配です。


◆「自閉症のままで生きられる地域・社会を目指す」を目標に学習・生活支援の家庭訪問を行うてらっこ塾を主宰する大久保悠さん(31歳)も会に参加、自閉症児施設職員や特別支援学級で教員をされ、自閉症研究で世界最先端のアメリカ・ノースカロライナ大学でも学んできた方ですので、たくさんの貴重な助言をいただきました。

一般的には「家にいないで外に出した方がいろんな経験ができてコミニュケーション能力がつく」と考えがちでですが、「コミュニケーションがうまく取れない」ことが発達障害のハンディキャップのベースなので、「外に出る」こと自体が本人にとって大きなハードルになっているとを、周りがしっかり理解してほしい、とのことです。

そして、そのハンディを小さくする条件づくりをきちんとやらないまま、いろんな経験をすればコミュニケーション能力がつくと考えて無理に外に出そうとすると、失敗体験をして自信をなくし、かえってこもってしまうことになりかねないので、まずは本人が家で安心して暮らせる環境づくりがスタートになります。

そのうえで、本人が好きなこと、得意なこと、安心できる人・好きな人との関わりを通して、徐々に外の世界とのつながりを見つけていく支援が必要とのことですが、なるほどそのとおりだと思います。(お問い合わせ:てらっこ塾☎090−4524−0693)


◆2月16日の第6回「多様な学び勉強会」は参加者13名とこじんまりした集まりでしたが、1980年から1992年までフランスに滞在しファッションジャーナリストとして生活された竹花郁子さんの体験談はとても面白くて、意見交換も内容の濃い有意義な勉強会でした。

食文化を大切にする国らしく、当時は学校の昼休みが2時間あり、子どもたちは家に戻ってゆっくり昼食を食べたり、学校給食もミニフルコースのような食事だったので、日本に戻ってきて先割れスプーンにショックを受けたとのことです。

また、家庭で決めればよいことにまで何で学校が口を出すのか疑問で、例えば「夏休み・冬休みのきまり」を学校が決めることが信じられなかったというお話に、「全くそのとおり」と共感した次第です。

確かに、バカンスが生きがいの国で、長い夏休みをどう過ごすかはまさに各家庭の楽しみですから、生活のきまりを学校に決めてもらおうなんて発想は生まれようがないかもしれません。

歴史も文化も風土も違いますから、日本とフランスのどちらが良いかという話ではありませんが、少なくとも日本の社会はあまりに学校に「依存」しすぎていることを、あらためて考えさせられました。

 「学校なしに子どもたちの成長はない」と考えれば、「不登校=将来が閉ざされる」ということになり、不登校をめぐる誤解とそこから生まれる様々な悲劇が後を絶たないのだと思います。


◆2月16日の大杉先生の講演は、不登校の子どもの状態をどのように理解し、どのように関わるべきかについて、心理学の知見をもとにたくさんのとても大事なことを分かりやすく教えていただきました。

とても会報の限られたスペースでは紹介しきれませんが、いただいたレジメのまとめ部分をご紹介します。

 『人間(親・教師・友人など)関係の不調を経験して,人に対する不信感を抱いていることが多いといわれています。

傷つき体験も多く,エネルギーが失われています。

自分の状況(なぜ学校に行きたくないのか?なぜ身体が動かないのか?など)を本人もよく理解できていないことがあります。

それに加えて,学校に行かないことに罪悪感を抱くため,親や教師に本当の気持ちを説明できないことが多々あり,エネルギーを回復して自ら動き出すサポートが必要となります。

また,小学生段階では,親からの圧力が強く,学校に行かないことを選択できない子どもたちが,エネルギーを使い果たして疲れ切り,我慢の限界に達して中学から学校に行かなくなることもあります。

エネルギーを蓄えるためにも,一人一人の状況が全く違うことを心に留め,その子なりにできたこと(今の状況で実際にできたこと)を認めて,信じて待つ姿勢を示しながら人間に対する信頼感を回復することが大切です。』


◆思春期以降に自閉症スペクトラム障害(高機能自閉症・アスペルガー障害・その他の広汎性発達障害)の診断を受けた方及びその可能性のある方の家族による勉強会ふぉろーずが、毎月第1日曜日の13:30~15:30、函館市総合福祉センター「あいよる」で開催されています(今年は2月2日のスタートです)。
参加費は無料、お問い合わせは野村へ(090−6261−6984)

登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会では、運営委員を募集しています。

例会の後に適宜開催していますので、例会で話し足りなかったことなどを語り合う場にもなり、いろんな方々とのつながりも増えてとても有意義だと思いますので、お引き受けいただける方は野村までご一報いただければ幸いです!^^)!

※例会参加費:資料代200円(年会費千円納入の方、17歳以下のお子さんや学生は無料です)
※代表:野村俊幸   〒042-0932 函館市湯川町1丁目25番4号
  携帯:090-6261-6984  FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp
※運営委員:安藤とし子 後藤健一 小林敏雄 鈴木三千恵 高石勇光 武井砂人 田中透
       寺島真寿美 三浦晋一郎