「アカシヤ会」会報 2016年9月発行 第255号

函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」が定期的に発送しているニュースレターを掲載いたします。

7月17日例会には13名の方が参加、うち4名は初参加で、不登校で悩むご家庭は減る気配がありません。

今回は「不登校の子どもとの日々の関わり」と「進路問題」を主なテーマにした2グループで話し合いを行いました。

8月21日例会は7名と珍しく少人数で、その分ゆっくり話し合いができました。

野村は8月20・21日、登校拒否を考える夏の全国大会in宮城の分科会「不登校支援のあり方」分科会で進行を務めることもあり、そちらに参加、不登校をめぐる最新情勢や全国の皆さんから生の体験をたくさんうかがうことができ、とても勉強になりました!(^^)!

例会日程:会場は函館市総合福祉センター「あいよる21」開催です(13:30~16:00)

9月19日・12月18日は第4会議室、11月20日・翌年1月15日は1階集会室です。

10月16日は《不登校・ひきこもりと「発達障がい」を考える集い》を拡大例会 の形で、「函館圏フリースクール すまいる」と共催で開催します。

発達障害者支援センター「あおいそら」相談員で小児科医の高橋実花先生に講演いただき、質疑応答の時間もたっぷりありますので、是非ご参加ください。

詳しくは同封チラシをご参照ください!(^^)!

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夏休み明け子ども自殺を防ぎたい! 昨年夏以来、会報でも度々ふれてきたように、学校の長期休み明けに子どもの自殺が急増することから、「学校よりも命が大事、辛かったらまず学校をしっかり休みましょう!」と、あらためて広く社会に訴えたいと思います。

詳しくは不登校新聞の関連記事と、北海道新聞の記事を同封しましたので、是非ご覧ください。

不登校はなぜなくならないのか? 同封の北海道新聞コラム「今日の話題」は、「不登校問題」の本質を突く鋭い指摘だと思います。

もちろん、不登校に寄り添って学校現場で奮闘される先生方もたくさんいますし、当会には先生方も参加しています。

なので、学校が全て悪いというつもりはありませんが、今の義務教育制度にメスを入れないかぎり「不登校問題」は解決しないでしょう。

不登校が「問題」ではなく学校に行けないということで子どもや家庭がひどく苦しむことが「問題」ではないでしょうか。

また、文部科学省が設置した不登校に関する調査研究協力者会議が7月25日に最終報告を発表しました。

依然として学校復帰を「問題解決」の基本に置いているという限界はありますが、「不登校を問題行動と判断してはいけない」と明記したことは、とても大きな意味を持ちます。

そう簡単に学校現場の不登校理解が変わると楽観はしていませんが、学校関係者が不登校を問題行動視した場合、文科省だってそうは言ってないことを明らかにしていきましょう!(別紙の道新記事の下欄で紹介)

【高校の不登校や中退にどう対処したらいいだろうか…】

アカシヤ会は当初、小中学生の不登校のご家族が大半でしたが、だんだん高校生の不登校でお悩みの方々が増えてきました。

高校に入学して間もなくという方もいれば、3年生からという方もいます。

ご家族にとっては「せっかく入学したのに…」とか「もう少し頑張れは卒業できるのに…」という気持になるのはもっともなことです。

しかも高校の場合は、出席日数や単位の縛りがありますので、「不登校の後の選択」が期限つきで迫られることもあり、本人も家族も一層苦しくなり、どうしても焦ってしまいがちです。

そして、次の進路が決まらないと、そのままひきこもってしまうのではないかと心配されるご家庭もありますが、最近会に参加される親御さんは、いろいろ葛藤はありながら「学校に戻れず中退してもやむ得ない」と親もある程度肚を決めて「見守る」というスタンスを取るようになり、そこから親子関係もだいぶ落ち着いてきたとお話されています。

お一人お一人経過や状況は違いますので、マニュアル的な対応は禁物ですが、お話をうかがうなかで、親子関係が安定するうえで、次のことは共通しているように思います。

① 結論を急がない。高校は欠席日数がかさむと、どうしてもどこかで留年、転校(編入)、退学という選択を迫られます。

その際はできるだけ結論は急がず、もちろん親が先に方針を出すことは控えましょう。

本人が病 院受診を拒否しなければ、診断書で欠席日数の上限を伸ばすことも可能ですので、学校に診断書を提出することで考える時間を確保することも有効な手段かと思います。

② 中退した後の進路情報はしっかり把握しておく。

最近は、高校のスタイルも多様化し、そのお子さんの個 性や状況に合った学校に移ることもできますし、高校卒業認定試験という道もあります。

親はどうしても従来の高校の形や「序列」などから「学校の良し悪し」を考えがちですが、いったんその「常識」を横に置いて、進 路について考えてはいかがでしょうか。

③ 情報を出すタイミングは慎重に。進路情報については「函館圏フリースクール すまいる」が詳しいですし、高認サポートの実績もありますので、庄司代表に直接相談されることをお勧めします。

ただし、そこで得た 情報をお子さんにお伝えするタイミングは十分にご留意ください。

お子さんから尋ねてきた場合は問題ありま せんが、こちらから一方的に「あれがある、これもある」と伝えるのは大きなプレッシャーになり、足踏みが長引く要因になることが多いようです。

【全国大会で学んだこと~教育機会確保法案の意義】

大会は有意義で重要な内容満載でとても会報で紹介しきれませんが、基調講演の奥地圭子さん(登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク代表)のお話からひとつだけご報告します。

昨年来、教育機会確保法案をめぐっては賛否両論が飛び交い、同封のような法案になりました。

「学校以外の場を初めから選べるようにしよう」という全国フリースクールネットワークなどの提案からみれば後退した感は否めません。

やはり、教育の国家統制を緩めたくないという自民党保守派の抵抗は大きかったようです。

しかし、「児童の権利に関する条約にのっとること」(第1条)、「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情に踏まえること」(第3条)、「当事者の意思を十分尊重」「年齢や国籍にかかわりなく教育機会が確保されるようにすること」や「教育機会の確保に関する活動を行う民間の団体との密接な連携」(第3条)が明記されたことはとても大きな意味を持ちます。

さらに「不登校児童生徒の実態に配慮した教育課程に基づく学校の整備」(第10条)が規定され、東京シューレ葛飾中学校のような学校が増えていく可能性も出てきました。

特に「不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性」「不登校児童の休養の必要性」(第13条)も明記され、学校を休むことやフリースクールの利用について理解が広がる大きな一歩になるでしょう。

また、夜間中学運動関係者にとって60年来の悲願がこの法案に込められていることもしっかり認識したいと思います。

法案は先の通常国会で継続審議になりましたので、秋の臨時国会の行方を注視したいと思います。

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※登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会
◇例会参加費:資料代200円(年会費納入の方、17歳以下のお子さんは無料です)
◇年会費は千円で、隔月でこのような会報をお送りします。当会は公的助成等を受けず、会費・寄付のみで運営しておりますので、当事者だけでなくこのようなテーマに関心をお持ちの方々にも広く会員登録いただき、ご支援・ご協力いただければ幸いです。

◇代表:野村俊幸  〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号 携帯:090-6261-6984
FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp