「アカシヤ会」会報 2016年7月発行 第254号
函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」が定期的に発送しているニュースレターを掲載いたします。
5月15日は拡大例会の形で、不登校・ひきこもりを体験したご家族のお話を聞く集いを開催し、35名もの方に参加いただきました。
ご本人2名、お母さん2名のお話は、実体験ならではの分かりやすく説得力のある内容で、参加者一同深い感銘を受け、たくさんの元気をもらいました!(^^)!
6月19日例会は7名と珍しく少人数で、その分ゆっくり話し合いができました。
また、函館市教育委員会の先生が「保護者の悩みを直にうかがって勉強したい」ということで参加され、率直な意見交換ができて、とても有意義な会となりました。
学校での理解が広がることを願っています。
例会日程:会場は函館市総合福祉センター「あいよる21」開催です(13:30~16:00)
7月17日・9月19日・12月18日は第4会議室で、10月16日・11月20日は1階集会室です。
なお、前回の会報で、11月20日に高橋実花先生の講演会開催をお知らせしましたが、日程の調整がつかず、講演会は中止いたしますのでご了承ください。
8月21日は函館市総合保健センター2階第2健康指導室で開催します。
「あいよる」ではありませんのでお間違いのないようにお願いいたします。(この日は「あいよる祭」で同所を使えません)。
8月20日・21日に「登校拒否・不登校を考える夏の全国大会2016in宮城」が開催され、野村は第3分科会「不登校支援のあり方」のお手伝いで、こちらに参加することになりました。
同じ悩みや辛さを抱えた全国の仲間と交流できる貴重な機会であり、並行して「夏の子ども交流合宿2016in宮城」も開催されますので、お子さんとご一緒の参加も楽しいです!(^^)!
また、大会の記念講演は尾木直樹さんです!
開催案内を同封いたしましたので、たくさんの方に参加いただければ嬉しいです。
ちなみに、「函館~仙台」は新幹線利用で「函館~札幌」より速いのです!(^^)!
函館圏フリースクール すまいるが函館新聞に大きく紹介されました!(^^)!
また、度々会報でも教育機会確保法案について取り上げてきましたが、これまでの経過や法案の意義と課題等について朝日新聞によくまとまった記事が掲載されましたので紹介します。
なお、この記事ではふれていませんが、法案の目的には「夜間中学の拡充強化」もあり、立法化は全国の夜間中学運動にとっても60年来の悲願ということで、夜間中学に関わる多くの方々も法案実現のために力を尽くしています。
【体験報告のトップバッター・運営委員のSさんからいただいたレポートをご紹介します】
中学校で長く不登校していた娘が高校生になってから言っていたこと。
(1)不登校は義務教育のうちにすべし
これは保健室登校や、頑張って別室登校などで通い続けた同級生が、高校入学後の1学期のうちに次々と退学していった姿を見て、呟いた言葉です。高校では単位が取れないと進級もままならない現実を中学では知らなかった。
だから頑張ってしまって余計大変になったと思う。
(2)休息をしっかりとること
自分が動こうと思うときに、充電をしっかりしていないと、また途中で息が切れて、そういう自分がいやになったり、期待を裏切る形にもなってプレッシャーになる。
(3)大人は(特に学校の先生)は、やっとの思いで学校にたどり着いているのに、すぐ次のステップを期待するので、嫌気がさした。
(4)かーちゃんは、自分が中学生だったころは「学校に行け、行けモードだと思ったけど、親元を離れて、ほかの家庭の会話を聞くと、意外と良い親だったんだってわかった。
(5)野村さんの自分の子どもの事での講演会を聞いた時に、「なんてひどい親だ」と思った(笑)けど、~スミマセン(-.-):野村コメント~そんな野村さんが自分は好きだった。~アリガトウゴザイマス(^_^;):野村コメント~。
ここからは私が感じていることです。
不登校って困ったことだと思うと、困ったことになる。
けど、親子でいっぱい考える時間を与えてもらったと考えることができたら、それって案外幸せなことのかも知れません。
あの当時言われていたことは、「お母さんが笑わないと子どもも笑えない」「自分のせいでお母さんが苦しくなっている」と子どもは思っている。
「子どもは子どもなりに親に気を使って生きているのだ」ということをいろいろな講演会で知ったときに、自分のペースはあまり崩さないようにと考えて行動しました。
「生きているだけで十分ラッキー」だとわかっていながら、子どもに負荷をかけてしまうのが親なのだと思ったこともあります。
過去は変えられないけれど、未来は変えることができる。
それには、やっぱり笑って生きていくこと。そんなことを教えてもらった気がしています。
私は正常な親子関係を築いてもらえなかった子どもでしたが、娘のおかげで元の家庭よりもいい家族体験をさせてもらっていると、今では思います。
なので、渦中の方、苦しいこともいっぱいあります。
けれど、きっと未来は明るい。
だって、子どもが悪いわけでも、親の私たちが悪いわけでのなく、日本の教育の在り方に「違うと思う」ということを体を張って訴え続けている我が子たちはとっても素敵な存在になると信じています。
だから、笑顔で過ごす時間をぜひ大切にしていただきたいと願っています。
【続いて、小学・中学と長く不登校を体験したMさん(20代前半女性)のレポートです】
学校に行かない(行けない)=ダメな子。一般的によく言われる言葉です。
でも『行かない』というたった4文字の中にどれだけの思いが含まれているのかを一緒に感じ取り、共有してもらいたいです。
本人しかわからない事だから親や先生、第三者にはわからないと突き放さないで下さい。
本人でもわからない事が沢山あります。
自分で自分がわからない事がどれだけ不安な事か…だからこそいつでも手を差し伸べられる様に子どもの姿をいい距離感で見守っていて欲しいです。
親もこの状態がいつまで続くの?と不安だと思います。
見なくていいものまで見え、何かに当たってしまいたくなる事もあると思います。
しかし、子どもにとって頼れる人・拠り所は親です。
だからこそ3D(でも、だって、どうせ)を使わずに一度全て受け入れ、こんな事と思う様な小さな事にも耳を傾けて欲しいです。
それがその時、子どもが親に伝えられる精一杯のSOSだと思います。
最後に、今回この様な機会を頂きひとつ殻を破り、一歩前進する事ができました。ありがとうございました。
【3番目は長い不登校・ひきこもりを体験したKさん(21歳女性)とそのお母さんのお話を、ご本人の了解を得て以下のとおりまとめましたので、ご紹介します】
Kさんは中学校で不登校になりました。
校長先生は「教室に入らなくても良いから」と、本人の希望に添って個別に勉強を教えるなど協力してくださり、高校に入学しましたが、入学式を終えて間もなく行けなくなりました。
そこまででエネルギーを使い果たしたようで、以降5年ほど家から出られなくなりました。
家どころかベランダに出ることもできない時期もあり、お母さんと取っ組み合いの喧嘩になったこともあったそうです。
しかし、お母さんもアカシヤ会に参加したり、いろいろ勉強を重ねました。
先回りは本人がエネルギーを溜めるのを邪魔するだけということに気がつき、まずは家で安心して生活できるようお嬢さんへの関わり方を変えていくよう努力しました。
すると、Kさんも外とのつながりを求める気持がだんだん膨らんできて、あるアイドルグループのコンサートにどうしても行きたいと思うようになりましたが外出できません。
やがて、往診してくれるメンタルクリニックがあることを例会で知り、そのお医者さんに自宅で診察してもらい、「社会不安障害」という診断で治療を受けることになりました。
親子関係も安定した状態が続き、お母さんと一緒に札幌で開催されたそのグループのコンサートに出かけることができました。
やがてご本人は「バイトをしたい」と言うようになりましたが、お母さんは「いきなり仕事というのは負担が大きすぎるのではないか」と考えました。
そこで、若者サポートステーションの利用者が人との関わりやボランティア、職場体験などを通して自信をつけていったことを見聞きしていたので、サポステの利用をすすめました。
ご本人はサポスに通い始め、いろいろなプログラムに参加してだんだん行動範囲も広がり、現在はスーパーでアルバイトを続けています。
ご本人は最後に、「サポステに通い始めてからも、先回りしないで、親が何も言わずに見守ってくれたこと」がありがたかったとのことです。
そして、「学校に進む順番も一本道ではなく、いろいろな経験をしてから学び直してもいいはずなので、<当たり前のルート>にこだわらないでほしい」とお話され、参加者一同とても感動しました。
【トリは、お子さんの不登校を体験した運営委員のTさんの含蓄深いお話です!(^^)!】
今回の拡大例会で体験談を話して欲しいとの依頼が有った時、余りにも色々な事が有り過て上手く話せる自信が有りませんでした。
そこで、私の対応について振り返ってみました。
私は、幼い頃に両親を亡くし里親に育てられました。
其の為に血の繋がった本当の家族と言う環境や本当の親の愛情がどんなものかと言う事の自信が有りませんでした。
いつも周りの目や評価を気にしていた様に思います。
ですから本当に子どもが望んでいたのか、喜んでいたのか子どもの心の声に時間と目と私自身の心を傾けて聴かずに、ただ質問的に聞いて、事を急ぎ過ぎていた様な気がします。
結果、活き活き・伸び伸びと自己選択の出来る子から親の顔色・気持ちを尊重するコンパクトな子どもに育った様に思います。高校進学の時も将来の進路をよく話し合い、子どもの真の心に耳を傾け思いを引き出していたら別の選択肢が有ったかも・・・。
次男も学校に行きたくないと休んだ時に、彼の本当の心に時間をかけて聴いていたら、不登校にならずに済んだかもと反省しています。
多分、彼はイジメ・ひやかしをきかっけに、づうっと良い子で頑張って来て疲れ切った身体と心を少し休めたかったのだと思います。
それを私は、焦り・慌てて大きくしてしまったのだと様に思います。
何事も焦らず・ゆっくりと子どもの心の声を聴く事が大切だったと、この振り返りであらためて気づかされました。
みんなちがってみんないい・我が子は我が子!
※登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会では、運営委員を募集しており、現在は15名の方にお引き受けいただいています。
例会の後に適宜開催しに別途ご足労願うことはありませんので、あまり負担にならないと思います。
また、例会で話し足りなかったことなどを語り合う場にもなり、いろんな方々とのつながりも増えます。
お引き受けいただける方は野村までご一報いただければ幸いです。
◇例会参加費:資料代200円(年会費納入の方、17歳以下のお子さんは無料です)
◇年会費は千円で、隔月でこのような会報をお送りします。当会は公的助成等を受けず、会費・寄付のみで運営しておりますので、当事者だけでなくこのようなテーマに関心をお持ちの方々にも広く会員登録いただき、ご支援・ご協力いただければ幸いです。
◇代表:野村俊幸 〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号 携帯:090-6261-6984
FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp