「アカシヤ会」会報 2015年11月発行 第248・249号

函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」が定期的に発送しているニュースレターを掲載いたします。

「登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会」会員及び協力者の皆さまへ

 今回の「アカシヤ会」248・249号会報は、前代表の小林恵美子さんの懐かしい手書きバージョンでお届けします。
また、素晴らしい2冊の本が出版されましたので、詳しくは同封の紹介チラシをご覧ください。北星学園余市高校学校説明会ご案内も同封しましたので、関心をお持ちの方は是非お出かけください。

「アスペルガーだからこそ私は私」 白崎やよい・白崎花代 著 生活書院
「ひきこもる心のケア ひきこもり経験者が聞く10のインタビュー」 杉本賢治 編 世界思想社

 さて、過日お送りしました秋のイベントご案内で、「普通教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法律案」(多様な教育機会確保法案)について少しふれましたが、もう少し詳しくご紹介します。

 2001年にフリースクール全国ネットワークが設立され、既存の学校以外で学ぶことを制度的に認めるよう運動が始まり、2009年の第1回日本フリースクール大会でそのための新法制定が提言されました。

そして、この全国ネットをはじめ関係者の働き掛けにより、2014年に超党派のフリースクール等議員連盟が発足し、立法化に向けて具体的な検討が始まり、「確保法案」の策定に至りました。

 不登校の子どもと家族が追いつめられるのは、子どもの学ぶ場が既存の学校しかないないことに大きな要因があります。憲法26条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定しています。

ところが、現実には学校教育法第1条で規定された学校しか学ぶ場が設置されていないために、いじめや体罰をはじめ様々な理由でその学校に行けない、あるいは行くことを拒否した子どもは、教育を受ける権利が保障されません。

それどころか、そのことで責められ、学校に戻るよう圧力を受け、心身ともに傷つき、死を選ぶことすらあります。

 このような状態を改善するためには、学校以外の学びの場を法的に認め、そのための制度を整えることが急務になっており、今回の法案はそのための重要な第一歩です。フリースクール等議員連盟は、議員立法を目指しており、そのためには各会派の合意が必要です。

しかし、自民党文部科学部会で「学校に行かないことを助長してしまうのではないか」「学校教育制度の中で不登校対策を推進していくべき」といった反対により、合意を得ることができず、残念ながら今年の通常国会では提案にいたりませんでした。

現在の学校制度の枠組みに固執する方々には「多様な学び」という考え方はなかなか理解されないかもしれません。

 だからこそ不登校の子どもたち自らが起草した不登校の子どもの権利宣言の三「学び・育ちのあり方を選ぶ権利」~私たちには、学校、フリースクール、フリースペース、ホームエデュケーションなど、どのように学び・育つかを選ぶ権利がある。

おとなは、学校に行くことが当たり前だという考えを子どもに押し付けないでほしい~という声を政治の場に届け、それを実現するために、この法案の成立を目指して、フリースクール全国ネットなど関係者は取り組みを進めています。

 フリースクール全国ネットでは、この法案の全体的内容について、Q&A等により詳しく説明した資料を作成しています。ご希望の方にお送りしますので、野村までご一報ください。

この法案について、北海道新聞10月19日「月曜討論」で紹介しています。

アカシヤ会25周年記念講演会で講演いただいた奥地圭子さん(NPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事・多様学び保障法を実現する会共同代表)はこれまでの苦闘をふまえ、本法案の意義を分かりやすく語っています。

北大大学院教授・横井敏郎さんも、本法の意義を評価し、合わせて今後の課題も提言していますので、是非ご覧ください。


登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会は、毎月第3日曜日13時30分~16時、例会を開催しています。
年会費千円を納入いただければ例会参加費は無料で、隔月で会報をお送りいたします。

※連絡先:野村俊幸  〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号 携帯:090-6261-6984
           FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp