「アカシヤ会」会報 2015年1月発行 第243号

函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」が定期的に発送しているニュースレターを掲載いたします。

 

11月16日は19名とたくさんの方に参加いただき、お子さんの年代も小学生、中学生、高校生、大学生と各年代にわたり、不登校をめぐる全体的な状況を皆で学び合う貴重な会となりました。

後半は「小中学生年代」と「高校年代以上」のグループに分かれ、よりきめ細かな話し合いとなりました。2014年最後の12月21日の参加者も18名と多数の参加者で、スタートから「進学問題・高校年代以上」と「小中学生の不登校」に分かれて、密度の濃い話し合いが行われました。

今年一年間ののべ参加者は142名、一例会平均12名で、会の役割がまだまだ大きいことを実感しています。

 

例会日程:会場は函館市総合福祉センター「あいよる21」開催です(13:30~16:00)

1月18日・2月15日・3月15日・4月19日・5月17日(いずれも4階会議室)
  6月21日(1階集会室)です。人数が多い場合はテーマや年代別にグループで話し合います。

2月例会終了後、新年会を開催します!

17時から「千年の宴」(五稜郭公園電停前・ミスド 隣)、参加費は3~4千円位で当日参加も可ですが、「参加できそう」という方は事前にご連絡ください。

アカシヤ会は2015年1月から新年度ですので、継続して購読をご希望の方は同封の振込 用紙で会費を納入いただくか、例会参加時にご持参ください。すでに納入済みにもかかわ らず振込用紙が行き違いになりましたらご容赦ください。

当会は公的支援を受けず、会費 だけで運営する自助グループですので、当事者だけではなくこのような課題に関心をお持ちの方々にもご参加いただき、ご支援願えれば幸いです。今回をもって振込用紙の同封を終了いたしますので、ご卒業の方にはこれまでもご協力に心から感謝申し上げます!(^^)!


◆毎回話題になるのが、子どもを何とかして登校させようとする学校からの働きかけに、どのように対応したらよいかという親御さんの苦悶です。
11月例会に小学生のお子さんの親御さんが二人参加されましたが、やはり初めのころは、親子バトルをしながら必死に学校に連れて行こうとしました。

しかし、お子さんの身体症状がひどくなり、「死にたい」ともらすなど精神的に危険な状態になったため、早い段階で対応の誤りに気が付き、「学校を休もう」とはっきり伝えたところ、お子さんはだんだん元気になって、家では普通に生活できるようになりました。

 お二人ともこのことを具体的に学校に伝え、「しばらく休ませますので、学校からの働き掛けはやめてください。行けるようになったらこちらから連絡します」とお願いしたところ、学校からあれこれ言ってこなくなったそうで、今は給食費の支払いも中断しています。

これは、お子さんにとって「学校をゆっくり休んでよい」というメッセージにもなり、それでさらに安定しただけでなく、親自身が学校からの連絡にビクビクしたり、毎朝学校に「今日も休みます」と電話するストレスから解放されて、とても心が落ち着いたとお話されていました。


◆そのうちのお一人はアスペルガー障害の診断を受けていて、対応が先生によってマチマチだったり、周囲の不適切な関わりもあって、うつ病の治療も必要になりましたが、しっかり休ませてからは症状もだいぶ改善されました。

そのお子さんは、学校の建物を「ワニが大きな口を開けて、自分を飲む込みそうに見える」と話していたそうです。学校に対する自分の気持ちがとても良く表現されていて、素晴らしい詩人だと思います!(^^)!

この話を受けて、お子さんがアスペルガー障害の親御さんから、「アスペルガー障害は記憶力の良い人が多く、過去の記憶を鮮明に覚えていてなかなか消すことができない。わが子は大人になってからも、子ども時代のいじめの記憶が何かの折にフラッシュバックし、精神状態が悪化することが度々ある。

『ワニが口を開けている』ように見える学校に行くのは、恐怖の体験を子どもにずっと覚え込ませることになり、大人になってからもいろいろ大変な問題を引き起こすことになりかねないので、早く休ませる決断をして良かった」とお話していました。


◆お二人とも初めから「学校を休ませよう」と考えることができた訳ではなく、お一人の方は「この会に来たら、どうやって学校に戻すことができるか方法を聞くことができるのではないか」という期待で参加されましたが、出る話が真逆の体験ばかりでカルチャーショックを受けたそうです。

しかし、その内容がもっともなことばかりで、わが子にも登校の無理強いを止めてから状態が良くなったので、自分の判断に自信を持つことができたそうです。


◆今回参加した親御さんの小学校はどちらも理解があるようですが、中学生のお子さんをお持ちの4人の親御さんは、学校からからの再三の働きかけに、とても疲れ切った体験を話されました。

ある方は、学校からどうしても本人に直接会いたいという連絡がありましたが、お子さんは学校を休むことでやっと気持ちの安定を取り戻したので、お断りしました。お子さんはある診療所にも通っているので、そちらのお医者さんに状況を聞いてほしいとお願いしても、学校は引き下がらず、どうしても直接会いたいと言ってきたそうです。

 最近、学校など子どもと関わる機関が児童虐待を見逃した場合に厳しく批判されることや、行方不明児童の問題が深刻化し、関係機関が取り組みを強化していることなどが、このような学校の対応の背景にあると思われます。しかし、何らかの第三者の情報でも子どもの安全が確認されれば良いはずです。

そこで親御さんは学校に対して、「必ず先生が直接確認しなければならないという通知文が文部科学省や教育委員会などから来ているなら、その文書を見せてほしい」とお願いしたところ、そのことは言ってこなくなったそうです。


◆学校は教育機関であると同時に「行政機関」という側面もあり、自分たちの行動に「瑕疵がない」ことを示すことが求められます。別に学校と事を荒立てる必要はありませんし、こういった学校の動きの背景も理解すると、家庭の側も感情的にならず落ち着いた対応ができると思います。

学校が家庭や子どもの状態を正しく理解し、こちらの希望に沿った対応をしてくださればそれに越したことはないのですが、それを100%望むのはおそらく難しいでしょう。とするならば、学校との対応で家族ができるだけ消耗しないよう防衛するほかありません。

 もちろん、そのような学校ばかりではなく、お子さんが不登校になった親御さんで、先生からアカシヤ会を紹介され参加したという方が今回もおいでになりました。遠方のある学校からも、不登校に悩む親御さんの相談に乗ってほしいというご連絡があり、その親御さんのところにおうかがいし、親御さんも今は落ち着いています。

 「親の会」と学校は決して対立するものではありませんので、このような学校が増えることを願っています。


◆11月6日に道南ひきこもり家族交流会「あさがお」と共催したイイトコサガシ実践講座は、午前・午後合わせて41名の方が参加、うち4割は会員以外で関心の広がりを感じました。ファシリテータの横山小夜子さんは講演の中で仕事や家庭生活での「失敗談」を赤裸々にお話いただき、参加者一同、涙と笑いにつつまれました。

 横山さんは48歳のときにアスペルガー障害の診断を受け、自分の生き辛さの正体を知ったことからイイトコサガシの活動に参加し、障害をマイナスとばかり考えず、それと上手に付き合いながら生活を楽む工夫を、活動を通して編み出していった体験談は、とても感動的で、様々なコミュニケーションを体験するワークショップも、参加している人も見学する人も「ナルホド、ナルホド」の連続で、とても楽しく有意義な会となりました。


登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会では、運営委員を募集しています。例会の後に適宜開催する形なので大きな負担にはなりません。例会で話し足りなかったことなどを語り合う場にもなり、いろんな方々とのつながりも増えます。お引き受けいただける方は野村までご一報いただければ幸いです。
※例会参加費:資料代200円(年会費千円納入の方、17歳以下のお子さんや学生は無料です)

※代表:野村俊幸  〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号 携帯:090-6261-6984
         FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp

※運営委員:安藤とし子 後藤健一 小林敏雄 鈴木三千恵 高石勇光 武井砂人 
田中 透 寺島真寿美 三浦晋一郎 吉田保美  匿名の方1名