「アカシヤ会」会報 第279号 2020年10月
コロナ禍で休止していた例会は6月から再開し7月19日は14名が参加、初参加の方も2名おり、小中学生と高校生年代以上の2グループでじっくり語り合いました。
8月16日は10名、9月20日は11名の参加で、グループには分かれず、初参加や最近参加された方の悩み、終日家で過ごす子どもへの関わり方などを中心に語り合いました。
コロナ休校明けは全国的に不登校がが増えているようです。
また、例年より短い夏休みで子どもたちは十分に休息をとれないまま2学期が始まり、登校が辛くなる子どもたちも多いと思います。
安心して学校を休める環境づくりが、より一層求められているのではないでしょうか。
例会日程:会場は函館市総合福祉センターあいよる21で(13:30~16:00) 10月18日は4階会議室 11月15日は2階第1会議室 12月20日・1月17日は4階会議室ですが、コロナ感染の状況もあり、開催の有無は事前にご確認ください。
函館市社会福祉協議会では、毎月第2木曜日10時~12時に不登校、毎月第4木曜日10時~12時 にひきこもりの相談窓口を開設しました。
不登校については函館アカシヤが、ひきこもりについては道南ひきこもり家族交流会「あさがお」が担当し、同じような体験をした者同士の語り合 いの場として実施していますので、是非お気軽にご利用ください。(☎0138-23-8969)
函館「ホッと親サロン」が運営委員のお母さんたちにより、亀田交流プラザ3階会議室1で、毎月第1・第3木曜日の13時~15時に開催されていますので、是非ご参加ください。
「不登校、発達障害、未診断、HSC、ちょっと気になるうちの子…1人で悩まず、吐き出してみませんか?お気軽におこしください。あなたは、1人じゃない!」という親の語り合いの場です。
参加費200円、お問い合わせは、土谷2ykr14@gmail.com、または野村☎090-6261-6984
なお函館圏フリースクール「すまいる」では毎週木曜日13時~15時、不登校・ひきこもり個別相談を実施しますので、こちらもお気軽にご利用ください。 (要予約、野村☎090-6261-6084)
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【わが家の兄弟の不登校体験から学ぶ②】 運営委員・佐藤恵
親も学ぶ
この数年間、学校を始め多くの相談機関と関わってきた。
アカシヤ会、フリースクール、教育委員会、児童相談所、発達障害者相談センター、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー…その中で感じたのは、不登校に対する理解や支援、その体制はまだ不十分であること、学校での発達障害の理解や特別支援教育の現状もまた、十分とは言えないことだった。
そして義務教育とは、学ぶ権利とは、多様性とはー。
不登校を通して親の自分も考えさせられ、たくさんの学びや気づきを得てきた。
不登校になると、よく「見守る」ということが言われるが、難しい技だ。
放置になってはいけないし、監視になってしまえばそれに子どもも気づき、息苦しくなってしまう。
いつかは必ず子どもに変化の時が訪れる。
その変化が小さなものであってもそれに気付き、タイミングをつかんでちょっと背中を押せるように、親は心の余裕を持ち、『その時』のために多くの情報を集めておく。
それが「見守る」技だと考えている。
不登校になるまで、これほど我が子の気持ちを考え、向き合おうとしたことがあっただろうか。
不登校や発達障害という少数派の我が子を理解するー。
いや、理解できなくてもいい。理解しようと努めること。
それは苦しい過程でもあるが、それができるのは、他でもない親の自分だけなのだ。
せめて短時間でも登校してくれれば、休んでいても勉強してくれれば、手伝いくらいしてくれれば・・・と思うのは親の願望、押し付けだ。
休んでいても、子どもはうまく表現できない辛い思いの中、自分自身を守るのに精一杯なのだということに気づいてあげなければならない。
不登校は、私に新しい出会いと繋がりをくれ、価値観に変化を与え、世の中の見方まで広げてくれた。
不登校になった息子達に今は感謝さえしている。不登校とともに、親も学び、成長するのだ。
現在
長男は小学校最後の学年には修学旅行のみ参加、また、自ら希望して好きなサッカーの少年団に通った。
中学校には1度も行っていない。
今はお決まりの昼夜逆転、外出はせず、ほぼ自室で過ごす、まさにステイホームの日々である。
そしてオンライン上で繋がった友達とゲームにトーク。
彼は楽しいそうだ。
学校には行かないとのこと。
この「楽しい」「行かない」はとても大きな変化だ。
不登校当初は、学校には行けない、楽しみなことなんて何もないと言っていたから。
学校に「行きたくても(行かなければならないのに)行けない」その辛さから逃れるために、ゲームや動画に没頭するしかなかったのだ。
今は自分の意思として「行かない」と言うことができ、ゲームを「楽しい」と思える心の余裕ができたのだ、とうれしく思う。
ぶっきらぼうであまり口をきかないのは、思春期なのか不登校なのかと悩むこともあるが、時折見せる笑顔やちょっとした会話、冗談を交わせることに、幸せを感じる。
彼のエネルギーがしっかり充電されるまで、安心して「ステイホーム」させてあげるのが今の自分の役目だと思っている。
昼夜逆転は夜間警備の仕事をしてくれていると思えばいい。今夜も部屋から聞こえる彼の声に安心して眠りにつくのだ。
次男は支援級に移籍した。
しかし興味の偏りが強く、集中力が持たないという特性を持ち、指示されることを極端に嫌う彼にとって、学校生活は苦痛そのものだった。
苦痛な環境で学ぶことは不可能だろう。結局、移籍して1年を過ぎた頃に、私から休むことを勧め、今は完全不登校である。
しかし、彼は好きなことや興味のあることにはとことん集中し、素晴らしい記憶力や行動力を発揮する。
彼は不登校になってから魚と釣りの虜になり、曰く「救われた」。
図鑑を与えると次々と魚の名前や特徴、生息域などを覚え、それでは足りずに専門書を読むようになった。
釣りに関する雑誌やカタログなど隅々まで何度でも読み込むので、釣り場で出会う人の持っている釣り用品の名前やメーカー、品番まで当ててしまう。
ネットや動画は視覚優位の彼にとって格好の学習ツールであり、そこからも様々な知識を得ている。
気づくと、好きなことのために覚えることの中には、学校で学ぶ国語や算数などの教科の要素が含まれていて、「好きなこと」の中に彼の学びはあるのだ、とあらためて思う。
学校と同じ方法でなくても学ぶことはできるのだ。
親にできるのは、好きなことをとことんやらせてあげることだと思うようになった。
特性からくる奇想天外な発想や、変化の大きい気分に左右される行動は、残念ながら学校生活で受け入れてもらえなかった。
親でさえ振り回され、疲れる毎日だ。
しかし、見方を変えれば常識にとらわれない発想力があり、これと思ったことには突き進む行動力があるということだ。
親としてはそれを彼独自の良さとして認め、生かせることを探し、成長を見守りたい。
このようにそれぞれの不登校生活を送っている2人。
共通して思うのは、今、目の前の我が子が生きていてくれるだけで十分だということ。
笑顔でいてくれたらさらにいい。
学校で傷つき疲れた心は、学校で癒すことはできない。
とにかく他のことは一旦目をつぶり、まずは今、子どもが笑顔でいられることを考えたい。
そこから彼らのエネルギーは湧いてくるはずだ。
不登校前を、元どおりを目指す必要はない。
目指すのは心の安定と、彼らなりの成長。そして子どもの人生は親が望むとおりにはいかないものだということ。
2人は親が経験したことのない人生をそれぞれ歩んでいる。
最後に〜不登校16万人分の2の思い
不登校になる理由は様々であり、家庭環境も様々である。
そして不登校のその後も様々だ。
我が家にはどのような将来が待っているのか、不安がないわけではない。
しかし1人ではないということが、大きな支えになっている。
暗闇と嵐の中、どこを歩いているのかわからずに苦しみもがいていた時もあったが、近くを歩いている誰かがいるということを知り、声を交わすことができ、自分の歩いている道端に新たな楽しみや幸せを見つけることもできるようになった。
辛い時は親も動かなくていい。
折れずにじっとしていれば、また動ける時はやってくる。今はなかなか晴れ間は見えないが、この道を我が家なりのペースで歩いていきたいと思っている。
期待はせず、でも希望は持ってー。
◇代表連絡先:野村俊幸
〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号
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