「アカシヤ会」会報 第276号 2020年1月発行 

あけましておめでとうございます。旧年中のご支援に感謝申し上げますとともに、本年もよろしくお願いいたします。

 

昨年10月20日の例会は13名、11月17日は15名が参加、どちらも高校年代上のグループと、小中学生のグループに分かれて話し合い、12月15日は9名の参加で、全体で話し合いました。

 

例会に何回か参加されますすと、まずはゆっくり休ませ、お子さんが元気になるのを待とうという気持ちになってくださる方が多いように思います。

この切り替えが早くなり、親子で苦しむ時間が短くなるのはとても良いことだと思います。

 

 

例会日程:会場は函館市総合福祉センターあいよる21で(13:30~16:00)

1月19日、2月16日は3階第1会議室 3月15日は4階会議室、

4月19日は2階第1会議室、5月15日、6月21日は4階会議室です。

 

アカシヤ会は1月~12月が会計年度で、今月から2020年度がスタートしますので、会員登録更新時期となります。

 

これまで隔月で年6回会報を発行してまいりましたが、発行体制の維持が厳しくなり、4半期ごとに年4回の発行にさせていただきます。

 

年会費は千円で変わりませんが、会報1回あたりでは実質値上げとなり、たいへん心苦しいのですが、ご理解いただければ幸いです。当会は公的な財政支援はなく、会費により運営しております。

 

振込用紙を同封いたしますので、引き続きご支援いただくようお願いも言う仕上げます。

 

1月26日(日)午後、奥地圭子さんの教育講演会が開催されます!(^^)!

奥地さんは日本で最初の本格的なフリースクール「東京シューレ」を開設し、「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」の代表も務めるこの分野の第一人者です。

 

講演会の後に奥地さんを囲んでの「不登校に関わる懇談会」開催され、相談も受けます。

元気の出るつどいになること間違いないので、是非ご参加ください。

詳しくはコチラのページをご覧くださいね。

 

【例会での話題から~高校の不登校から新たな挑戦へ】

最近は高校生年代以上の不登校のご家族の参加も増えています

先の例会に、保護者とご一緒にご本人も参加された事例がありました。

 

4月に高校に入学したのですが、友人とのトラブルや、いじめのような状態について、学校が適切に対応してくれなかったという不信感が募り不登校になりました。

 

ご本人は持病があり、そのことも学校に伝えていたのですが、納得いく対処をしてもらえなかったということも不信感につながりました。

 

ご家族も本人の状態を理解し、学校に改善の申し入れをしたのですが思うような効果はなく、保護者も学校に不信感を募らせ、親子でよく話し合った結果、これ以上この学校にいても事態は良くならないと考え、退学を決断しました。

 

その後、本人もこれからのことを1か月ほどいろいろ考えた結果、将来保育士になりたいという夢があるので、その資格取得のために、この春再度受験し、高校進学を目指すことにしたそうです

 

現在は、受験に備えて家庭教師にもついてもらい、自宅学習をしているとご本人は語っています。

 

高校中退を巡っては、「その後どうする」という悩みつきまとい、本人も家族も追い詰められる例が多いのですが、このご家族は、学校との関係を早めに整理し、そのことで受けるダメージをできるだけ少なくし、早めに前向きに考えることができたのだと思います

 

中退を積極的に勧めるつもりはありませんが、学校との関係でエネルギーをすり減らすより、早く見極めをつけて次に備えることも大事なのだと思います。

 

また、中学で不登校になり、体調もすぐれないために高校受験をしないで、家で過ごすことにしたご家庭の例です。

 

ほぼ全員が高校進学する現状の中で、どこにも行かないといういわば「無所属」の状態というのは、本人にとっても保護者にとっても大きな不安だと思いますが、このご家庭は、本人の状態をよく理解し、2年ほどじっくり待ちました

 

やがて、ご本人も元気を回復し、函館圏フリースクールすまいるの学習支援を利用するようになり、保護者が思っていたより早く、今年、高校卒業認定試験に挑戦したそうです。

 

どちらのお話も、保護者が子ども自身の持つ大きな力を信じ、しっかり支えてきたことが、新たな道につながったのではないかと思います。

 

【学校復帰優先からの転換~文科省、新通知を発表】  代表:野村

不登校の増加が続いています。文科省の調査では小中学生の不登校は6年連続で増加し、平成30年度は16万4528人で、高校生も合わせると21万7251人を数えています。

 

このような状況に鑑み、登校拒否・不登校を考える全国ネットワークやフリースクール全国ネットワークなどでは、従来の学校復帰策では不登校児童生徒とその家族を追い詰めるだけであり、学校を休むことを認め、フリースクール等の学校以外の場で学び成長することを保障するような制度改革を求めて運動してきました。

 

その成果もあり、平成28年12月14日に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)が公布され、「不登校児童の休養の必要性」「学校以外の場において行なう多様で適切な学習活動の重要性」等が法律で明記されました。

 

また文部科学省では、これまでの不登校施策に関する通知において、学校復帰を前提とするような記述も残っていたことから、法の趣旨との整合性を図るためにそれらを廃止し、令和元年10月25日に元文科初698号「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)を出しました。

 

この「支援の視点」において、『「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく』、『児童生徒によっては不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある』と明記され、学校復帰を最優先する方針が転換されました。

 

また、「不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保」の項目では、『フリースクールなどの民間施設など、多様な教育機会の確保を図る必要があること』も明記されています。

 

「教員の資質向上」の項目では、『不登校に関する知識や理解、児童生徒に対する理解、関連する分野の基礎的な知識を身に付けさせていくことが必要であること。』とされています。

 

さらに、「教育支援センターの整備充実及び活用」においては、『市区町村教育委員会においては(中略)教育支援センターの設置に当たっては、例えば、自治体が施設を設置し、民間の協力の下に運営する公民協営型の設置等も考えられること。』とされています。

 

しかし、残念ながら、学校から登校を強く促されて、当該児童生徒と家族がとても苦しみ、疲弊する事例が後を絶ちません

 

また、義務教育は無償であるにもかかわらず、函館圏フリースクールすまいるを利用する家族は、すまいるへの公的財政支援がないため、すまいる利用料を負担せざるを得ない状況です。

 

また、すまいるには現在28名の不登校児童生徒が利用登録し、フリースペースでの活動や学習支援を利用することにより元気を取り戻しいますが、運営は利用料と賛助会費、寄付金のみであり、経済的にひっ迫する状況が続いています。

 

このような状態を改善するためにアカシヤ会としても、学校現場に教育機会確保法や文科省の新通知を浸透させ、不登校の児童生徒と家庭を追い詰めないことや、フリースクールすまいるへの財政的な支援について、教育行政に要望していくことも課題になっていると考えています。

 

「登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会」

◇代表連絡先:野村俊幸

〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号 携帯:090-6261-6984

FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp