「アカシヤ会」会報 2015年7月発行 第246号
函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」が定期的に発送しているニュースレターを掲載いたします。
5月17日の例会は18名の方が参加し「小中学生の不登校」と「中学卒業以上の不登校」の2グループで、6月21日例会は23名の方が参加し、年代区分ではなく「進路について」と「日常生活について」というテーマの2グループで話し合いましたが、話は尽きませんでした。
ということで、終了後もさらに話し合いを続けたい方がたくさんいることから、5月から例会会場を続けて確保し、例会はいったん午後4時で終了しますが、引き続きその会場で自由に懇談できるようにしました。
5月例会時は大半の方が残り、18時近くまで話し込む方々もいました。6月も多くの方が残って、話し合いを続けました。
例会日程:会場は函館市総合福祉センター「あいよる21」開催です(13:30~16:00)
7月19日・9月20日・11月15日は4階会議室、10月18日は午前10時からです。
8月16日は函館地域交流まちづくりセンター2階研修室Aで、発達障害の勉強会です。
「自閉症スペクトラム障害成人当事者の会・よせなべ」代表の白崎やよいさんに講演いただき、意見交換を行います。例会は13:30~15:30ですが、それ以降も17時まで会場で交流できます。
【シンタの集い】7月25・26日(土・日) グリーンピア大沼 同封チラシ参照
【芹沢俊介さん講演会】
「存在論的ひきこもり論」「ひきこもるという情熱」などの著者
9月27日(日)15:20~亀田福祉センター、同日13:20からのドキュメント映画「隣る人」上映会
に続いての講演。主催:「隣る人」自主上映実行委員会、函館YWCA。次号にチラシ同封します。
【内田良子さん講演会】
NHKラジオ「子どもの心相談」でも著名な心理カウンセラーで、不登校
相談の第一人者です。10月17日(土)午後(時間未定)開催で、終了後懇親会も行います。
翌18日(日)10時から内田さんを囲んでの拡大例会を開催します。次号にチラシを同封します。
※「進路をめぐる参考資料」第2弾は、奨学金情報です。皆さんからの情報もお待ちしています。
※「多様な教育機会確保法案」が議員立法で提案される見込みです。楽観はできませんが、不登校や
フリースクールをめぐる状況が少し変わるかもしれません。詳しくは同封の新聞記事をご覧ください。
発達障害のお子さんとどう関わったらよいか:実践論 【安藤】
今回は、小・中学生のグループに参加しました。参加者の半数の方に発達障害のお子さんおられましたので、話題も「障がいを持つ子どもとのかかわり方」に関することが多くなりました。
障害を持つお子さんとのコミュニケーションをどうとるか・・・これが一番大事だと、私は思っています。コミュニケーションに関しても、お子さんそれぞれが独自の特性を持っていると思われます。
日常会話で、「何言ってるのか、さっぱりわからない。」とお子さんが言った時は、話している相手の「考えていることが納得いかない、わけがわからない」というよりも、文字通り「日本語として通じていない」という場合が多々あります。どうして同じ日本語を話していて通じないかは、お子さんがどのような特性を持っているかにもよります。
会話が通じにくい実例と対処方法の工夫について
我が家の例で具体的にいいますと、次のようなケースがあります。
◇「あの人」「さっきの話」等が使われると、誰のこと、いつのこと・・・と混乱する。
◇小学校から高校までの学習形態は「授業」といい、大学の学習形態は「講義」または「ゼミ」という。
◇「他人」とは、自分以外の人のことなので、親・兄弟姉妹・祖父母も他人である。
◇「そば」とは30cm以内にあることをいい、それ以上離れたら「近く」という。
などなど、私とは少し違った日本語のとらえ方をしています。こうした独特の言葉の理解の仕方が、会話のトラブルの原因になることが多いです。ですから、自分と子どもの間にはどのような言葉のとらえ方の相違があるか、確認することが必要になってきます。
では、どのようにすればいいのか。一番良いタイミングは、お子さんに「何を言っているのか、わからない」と言われた時です。ムカッと来る気持ちをぐっとこらえて、「言い方が悪かったかもしれないね。今の言い方の、どこがわからなかったの。」と、落着いて聞いてみてください。
お子さんから「わからなかった」理由が聞けると思います。はじめからうまくいかないと思いますが、根気良く続けてみて下さい。そして親子の間で、「今の言い方、わからないんだけど。」とか、「もう一度、言ってみてくれる?」、「この言い方でわかる?」といったような会話が日常的にできてくると、かなり「お互いが使う日本語」の通じる会話ができるようになります。
そうなってきてはじめて、考え方や価値観の相違などを話し合えるようになると思うのです。言葉自体が、お互いの思ったように伝わってない中で、考え方や価値観について話しても、話が混乱していくことのほうが多いようです。
「できないこと」を非難せず、補える方法を考える
また、障がいのあるお子さんには、それぞれの「できないこと」があります。親としては、できないことを少しでもできるようにしてあげたいと思います。
発達障がいは見てわかる障がいではないので、知的に障がいがない場合は、特にそう思うようです。けれども「できないこと」があるから、「障がい」なのです。
この「できないこと」を何とかしようとすることは、視覚障害のある方にたとえて言うならば、「なんとかして、目で物を見て暮らせるように努力しなさい」と言っているようなものだと思います。
そうしたことよりは、視覚障害があっても暮らし やすいように、盲導犬を含め、様々な支援を受けながら暮らすことを考えたほうが有益でしょう。
当事者にとっても、負担の少ない充実した生活が送れるのではないでしょうか。
「できないこと」を「できること」に変える努力を強いるよりも、「できないこと」を補える方法を考えていくことは、親にとっても子どもにとっても 大切なことであり、「障がい」と共に暮らすこれからを充実したものに変えていく手立ての1つだと思います。
せめて計算くらいは・・・などと思いがちですが、計算は電卓で十分です。むしろ実生活では、「ここは足し算するべきか、引き算するべきか」といったような考え方のほうが重要でしょう。
日常生活の中では、どういう計算が必要な場面なのか、買い物などの実体験を通して学習していくほうが、将来的には役立つことと思います。
電卓片手に、税抜き価格と税込価格の計算をしたり、「2割引」というのはどう計算したら割引後の値段がわかるか、予算を決め計算しながら予算通りに買い物してみたり・・・などなど、単なる計算練習よりは実用的で、楽しいのではないでしょうか。
文字を書くのが難しいお子さんならば、携帯のメール画面に文章を入力し相手に見せる、パソコンで文章を作るなど、手で書かなくても相手に伝えることはできます。
携帯ゲーム機ぐらいの大きさで、基本的な会話文が入力されていたり、自分で文章を入力すると音声で相手に伝える機能などのついた、コミュニケーションをサポートするものも販売されているようです。
親も子も、お互いの能力をうまく生かして暮らしていく方法を考える・・・これは困難なことばかりではなく、新たな発見や今まで気づかなかった楽しさを知ることでもあります。
登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会では、運営委員を募集しています。例会の後に適宜開催する形なので大きな負担にはなりません。
例会で話し足りなかったことなどを語り合う場にもなり、いろんな方々とのつながりも増えます。お引き受けいただける方は野村までご一報いただければ幸いです。
※例会参加費:資料代200円(年会費千円納入の方、17歳以下のお子さんや学生は無料です)
※代表:野村俊幸 〒042-0932函館市湯川町1丁目25番4号 携帯:090-6261-6984
FAX:0138-57-3041 Eメール:tnomura@sea.ncv.ne.jp
※運営委員:安藤とし子 後藤健一 小林敏雄 鈴木三千恵 高石勇光 武井砂人
田中 透 土谷結花 寺島真寿美 豊田美智代 三浦晋一郎 吉田保美 匿名の方1名